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1.252017
着ぐるみの頭身バランスについて
お客様とのやり取りやお打ち合わせの中で、着ぐるみの頭身バランスについてご相談を頂く事が多くあります。
そこで、キグルミックススタッフの考え方や、お客様が最終的にどのようなご決定をされることが多いかをご案内します。
イラストを元に着ぐるみを製作する際の注意点
近年の傾向として、着ぐるみのご依頼を頂く前に参考資料として拝見するイラストは1.5〜2頭身位と、頭部の比率が大きなキャラクターの比率が高くなっています。
そんな中、平面イラストをベースにしつつ着ぐるみの製作をお考えになると、必ず元イラストとの整合性を考える必要があります。また、形状によっては着ぐるみの可動域や動作性の兼ね合いを考える必要もあります。
通常、着ぐるみを製作するとなればイラストをそのまま再現する事を最初にお考えになるかと思います。それとは別に、着ぐるみは「中に人が入って動く」という実用性も求められます。頭部の大きなキャラクターの場合でも、握手をしたりダンスをしたりといった動きを想定されることはあるかと思います。
しかしイラストをそのままの比率・形状で再現したとき、着用に適さない着ぐるみバランスとなってしまう可能性があります。
具体的にはほとんど手が動かせない、頭部が巨大になりすぎてしまってドアや通路などの導線を移動できない、小さなお子さんから怖がられてしまう等のデメリットです。
撮影用途のみの場合などでしたら、イラストのイメージをそのまま再現する事が何よりも優先事項だと思います。しかしグリーティングなどが想定される場合、着ぐるみの頭身バランスやサイズ感を考える際に、キャラクターのイメージを見たままの印象で伝えたいか、それとも動きの中で個性を出したいのかをよく検討して頂く事をお勧めしています。
頭部の大きな着ぐるみの製作例
キグルミックスのマスコットキャラクターのミックスくんを例に、頭身バランスと動作性の兼ね合いの実例をご説明します。エアーミックスくんは【Lサイズ(2~2.5頭身)】です。ミックスくんにも元イラストがあり、それだけを見るとほぼ2頭身に近いキャラクターです。
着ぐるみする際には、頭身バランスを調整し頭の比率を少し小さく調整しました。これは動作性の確保のためです。寸法上の比率では大体2.2頭身位です。これくらいの比率にすることで、着用時に少しかがむと手を使った操演が出来るようになっています。
そして意外なことに、寸法上では2頭身ではないのにエアーミックスくんを実際に見た皆さんは一様に「2頭身の着ぐるみ」だと云われることが多いです。
頭部を小さくしたにもかかわらずなぜこのように見えるのかご説明したいと思います。
図面とそれを元に製作した着ぐるみの比較
上はそれぞれ、エアーミックスくんの設計図面と完成写真です。図面の段階では2.5頭身に見えますが、それを忠実に制作した着ぐるみは図面に比べて2頭身に近く見えるのではないかと思います。これは、平面イメージと異なり、実際の立体物には「パース(遠近感)」がかかって頭身バランスの印象が異なって見えるためです。
身長の小さなお子さんでなければ、多くの人には着ぐるみの足や胴体よりも顔のある頭部部分が最も近い場所になります。パースがかかると「近いもは大きく見え、遠いものは小さく見える」ため、その結果が実寸を元にした図面よりも実際の着ぐるみの方が頭部が大きく見えるというわけです。
まとめ
キグルミックスではお客様の動作性に関してのご要望があった場合は、頭部の大きなキャラクターは図面作成時にイラスト比率よりも少し頭部を小さめに作図させて頂くことが多いです。図面のご確認段階ではイラストと比較すると頭部が小さく見えても、実際の着ぐるみの印象はイラストに近く見えて操演もしやすい着ぐるみになります。
もちろん、動きよりも元イラストの再現性を優先された場合は頭部を大きく制作することも可能です。
製作をご依頼いただいた際には、お客様のご要望をお聞きして図面を作成しています。
イラストを着ぐるみ化する際には様々な要素が絡み合ってきます。キャラクターそれぞれの個性や、着ぐるみとしての実用性を考慮しながら、最もご要望に近い仕様やバランスをご提案しています。